高円寺の路地について


高円寺在住の友人を早稲田通り沿いで拾い、そのまま銭湯へ向かう。歩くのが面度なのでなるべく近くの駐車場に車を止めようと思うが、何分23区内の古い町だ。都市計画も何も無くただでたらめに家が並んでおり、その間に無理やり道を通している按配である。


大変な苦心をしやっと銭湯にたどり着いたときには、既に12時を回っていた。閉店は1時である。銭湯で疲れを癒すはずが余計な疲労を感じてしまうのは、私の錯覚のなせる技なのだろうか?


今回の銭湯は高円寺の「小杉湯」()。ホームページによると、「都内で唯一ミルク風呂が毎日楽しめる場所」らしい。入場してみると番台付近や脱衣所はまったく昔ながらの銭湯だが、浴場に入ると微妙な違和感に襲われた。


というのは、浴場のタイルがすべて真っ白なのである。まるで近年強引に大幅な改修を行ったかようで、脱衣所から浴場に入るなり別世界というか・・・世界観が違うのだ。昔くささやおじさん的世界から、急にちょっとおしゃれでこぎれいな空間になったというか。


しかしこれは考えてみれば大変なことである。近年の銭湯業界の逼迫ぶりは実データを取るまでも無く明らかである。営業を終了する銭湯も多い。そんな中小杉湯の経営者は先見の名をもって早めに手を打っているのだ。確かに脱衣所の浴場も大入りの大賑わいである。単純に銭湯を楽しむというだけでなく、そこにひとつの店舗運営の事例を見た。