自分のためだけに歌っているわけではない、ということについて


ただそれとは別に、僕もいい加減それなりに年をとってきているのだけあって、別の考え方もするようになった。つまりたとえ自分に不満が残ろうが、自分が参加することによって少しでも男声Fの演奏に貢献することができればそれが何よりなのではないか、という考えだ。ある意味、今回の参加はこれまでがんばってきた男声Fのメンバーに対する応援でもあるのだ。もちろん自分ひとりで演奏効果が上がるわけもないが、人が増えれば活気も増えるし、精神的な意味だけでも貢献できればそれに越したことはない。


ただ気がかりなのは、このブログにも顕著なとおり、今現在歌い手としての僕はかつてない不調の波に襲われているということだ。声が出ない、音程が取れない。かつて男声Fでコンクールに参加したころと比べても、今の僕はいったいどれだけ歌いえているのだろうか。そして僕を招集してくれたかつての仲間たちは、僕の今現在のそんな状況を知る由もなくかつての僕として召集しているのだ。


それでいて、やはり関東大会や、全国大会に出場したいという思いは依然強い。「全国大会の空気」というものをきちんと感じて受け止めることで、初めて歌い手としてのスタート地点に立てるのではないか、という漠然とした思いもある。召集をいただいてから一週間、悩みに悩み、僕にしては珍しく多くの無関係なひとに相談したりした。


結論は出ない。ただ、練習に行こう、と思った。考えても自分がきちんと歌えるかどうかなんてことは分からないのだ。歌ってみて初めて分かることなのだから、練習に参加して、その上で判断しようと決めた。声の調子を取り戻すために、赤ワインは毎日飲み続けた。