映画の内容について


◎注意! ここから先は映画の内容に直接触れるので、ネタバレです。この映画は僕は名作だと思うし世の中的にも注目され良い作品なので、これから観よう!と思っている人は以下は読まないほうがいいかもしれません。


以上のような僕の個人的なスタンスとこの映画の問題意識は非常に一致しているように僕は感じた。こういう映画をどんどん作って欲しい。そいて医療や保険、保障のあり方にもっとみんなが興味を持って、改善されていくといいな〜と思う。


問題意識は社会性が高いが、ストーリーは王道だと思う。悪く言えばご都合主義だが、僕はこの映画はそれでよいと思う。エンタテイメントや作品としての評価を気にすれば、もうちょっと緻密でリアリティのあるストーリーにするという方法も考えられるかもしれない。(ジョンが死ぬとか、息子がやっぱり助からないとか、そもそも犯行に失敗して二人と死んでしまうとか。)


しかしこの映画は問題提起型の映画なので、問題を代弁する主人公は正義でないといけないし、子供は助からなくてはいけないと思う。作品中でデンゼルワシントンが誰かを殺したわけでもなければ、殺す意志もなかったことが伝えられているので、倫理的な観点からもまあハッピーエンドで良いと思う。


ご都合主義のストーリーでも安っぽさを感じないのは、デンゼル・ワシントンの演技の存在感が突出しているからだろう。この映画の一番言いたいことは「医療・保障の問題」だと思うのだが、それはジョン親子の愛情や絆が深く伝わってこなければ深刻性が感じられないくなってしまう。


「自分の生きる・死ぬ」だけの問題であれば、医療であれ保障であれサバイバルゲームで勝つか負けるかの話になってしまうが、家族や自分のかけがえのない人の生きる・死ぬという話になると問題は一変する。


この映画で僕が一番心を動かされたのは、ジョン夫妻の息子の溺愛ぶりが実によく演じられていたことだと思う。息子はなんだかあまりかわいくないし、ちょっと変な奴っぽかったが、それでも両親にとっては世界一かわいい子供なのだ。そのことがとてもよく伝わってきたし、家族の絆のようなものがものすごく良く描けていたように思う。


そんなわけで映画の最初の内は「医者や病院はやはり信用ならない」とか「世の中の仕組みは確かに間違っている」といった気分で見ていたが、物語が後半に進むにつれ「自分もこういう家族を作りたい」とか「息子っていいな」といった心持になってきた。


僕はもともと医療・保障の問題には関心があるほうなので、この作品で新たにこの問題に興味を持つということはあまりなかった。それよりも僕にとってこの作品は「自分で家族を作っていく」ということを考えさせられう部分が大きかった。


僕も将来息子ができて父親になったら、ジョンのように振舞ってみたいと思う。