タリススコラーズについて


タリススコラーズの演奏会を聞きに行った。混声AのMさんのおかげでおそらく最高の席を取っていただくことができた。


タリスや、モテットなどの宗教曲は僕の得意なジャンルではない。それでも世界トップレベルの演奏はたいへんなもので、何もわからない僕でもそのすばらしさを十分楽しむことができた。


ひとつ感じたことは、ベースパートの発声が固かったことだが、これは良い意味でとても勉強になった。以前タリススコラーズのCDを聞いたときにやはりBASS(特に下声部)の声の硬さが気になり、若干耳障りに感じることがあった。


ところがライブではかなり印象が異なり、やはり硬い声なのだがホールの響きが良いこともあり耳障りということはない。むしろ土台の輪郭がはっきりすることで、全体のバランスがとても良く聞こえてくる。


混声合唱において、男声パート、特にベースパートが弱かったり、あまり聞こえないという場合をよく見る。おそらくそれは「音を乱さない」「綺麗な(柔らかい、響いた)声を出す」ということに注力するあまり声の鳴りそのものが弱くなってしまうためであろう。僕自身も昔「声が硬い、汚い」と散々言われたほうなので、こういう心理はすごく良くわかる。


しかしやはり、ライブにおいてベースが聞こえなかったり弱かったりしては全体のバランスがすごく不安定になってしまう。高音部が評価されることが多いタリススコラーズだが、その基盤を作っているのは低音部なのかもしれない。


録音とライブの違いという意味でも、全声部のバランス感覚という意味でも、とても良い勉強になった。