関東大会の本番まで、ついて


関東大会に行ってきた。参加を決めてから僕はすぐに暗譜をし、さらに圧倒的に不足している練習時間を少しでも補うために徹底的に素読みをした。素読みはなるべく音程を付けて行った。つまり、小声で歌っているような形だ。


また、メンバーがくれた神奈川県大会の演奏を何度となく聞いた。もしこの音源がレコードであったら、おそらく溝がなくなってしまうくらい聞いた。特定の曲にこれだけ短時間に集中して取り組んだのは初めてかもしれない。しかしいかんせん、練習時間が圧倒的に不足している。


本番までの数回の練習ももちろんすべて参加した。本当に恥ずかしいことだが、体調は必ずしも万全ではなく、毎日イソゲンでうがいをし体温管理にも細心の注意を払ったつもりだったが、それでも万全にはいたらなかった。


それでも短い期間の密度の濃い音楽体験は、僕の演奏者としてのスタンスを相当程度修復したように思う。練習を重ねるごとに、演奏に打ち込むことの懐かしさは薄れ当事者としての当然の感覚が強くなる。感傷は遠のき、演奏に対するコンセントレーションが増していくのを感じる。


関東大会は高崎で行われたため、前泊することになった。コンクールに出場するために前泊する、という経験自体が僕にとっては初めてのことで、新鮮だった。演奏前の前泊というと、学生時代の演奏旅行くらいのものだが、それとは根本的に意味合いが違う。


本番前日の土曜日の日中、男声Fの直前練習を終え、その後混声Rの練習に途中まで参加し(指揮者の先生の依頼だ。もちろん断るわけにはいかないし、断りたくはない。)、そのまま車で高崎へ。僕のセリカが高速に乗るのは久しぶりだったが、エンジンは快調そのもので想像よりずいぶん早く高崎に到着した。


ガストで食事を取り、部屋で赤ワインを飲んではやめに寝た。