チューリッヒ歌劇場来日公演「ばらの騎士」について

yamada1642006-06-16



※この日の記事は、実際には2007年9月2日に書いております。


話は現在にもどり、時に2007年9月2日。チューリッヒ歌劇場来日公演「ばらの騎士」を観にいった。(http://www.operazurich.jp/


オペラを勉強したての私としては、恥ずかしながら「ばらの騎士」は録音を含めて観たことも聴いたこともない。しかしせっかく良い公演を観にいくわけだから、最低限の準備として対訳とDVDを買ってきて、一夜漬けで予習をする。


録音を含め私がこれまで一応見たオペラといえば、「椿姫」「魔笛」「フィガロの結婚」「カルメン」「こうもり」「マリッツァ伯爵夫人」「リゴレット」・・・くらいのものだろうか。まだまだごく僅かだ。また、近現代ものはぜんぜん聴いていないということになる。


よい機会だと思って張り切って予習してみたが、どうやらまだ私の段階としてはだいぶ早いということがわかる(笑)そもそも合唱畑で、ピアノもろくに弾いておらず、オケ曲も全然聴かない不勉強な私にとって、「ばらの騎士」は相当に敷居が高かったようだ。


しかしながらわからないなりにもこの作品がすごい作品であるということは感じる。歌手が要求される技術レベルもまたモーツァルトやヴェルデエィの曲以上のものがある。惜しいのは、バリトンの主役がいないことか。


対訳を読み、家でDVDを一通り見てみると、初めこそ楽曲の高度さ・難解さに辟易としてしまったものの、二幕・三幕と進めていくうちにこの作品の全体像が掴めていって、次第にその世界に引きずり込まれていった。


多くの書評にある通りかもしれないが、やはり二幕のオクタヴィアンとゾフィーの出会いの二重唱、そして三幕の元帥夫人、オクタヴィアン、ゾフィーの三重唱・・・楽曲がこのうえなく美しいのはもちろんのこと、それらが全て連綿と続いているその幕の音楽から途切れることなくなだれ込んでいく様が見事としか言いようが無い。そしてその美しい楽曲がそのまま次の場面へと変化しつつ続いていくのである。まさに楽劇の醍醐味であり、リヒャルトシュトラウスワーグナーの後を継ぎ・・・と表される理由が良くわかる。