「結婚手形」について

yamada1642006-06-19



◎昨日、一昨日の記事の続きです。


小一時間ほどで「奥様女中」が終演し、10分のインターバルのあと「結婚手形」が始まる。「奥様女中」が配役3人であるのに対して,こちらは7人。声種もアルト以外はそろっており、オペラらしい賑やかさが引き立っている。


この団体は演出、特に出演者の動きについてとても丁寧に仕事がなされており、また全体のバランスをとるような計算もきちんとなされているように思う。すぐれた演出家がついているのだと思われる。同じ舞台であるために大道具や舞台設備は前の演目とほとんど変わらずなのだが、そういった点で引け目を全く感じさせない。オペラ・ブッファの真髄を観客に伝えるということにおいては、こと優れた演奏と演技があれば、それ以上の大道具や舞台設備はかならずしも必要ではないということを感じさせられる。


奥様女中」の後に聞くとやはり華やかな印象が強い。歌う人が3倍以上居るのであたりまえだが、サウンドがとても分厚く心地よく聞こえる。小さい公演ながら歌い手の方々はほんとうに良いメンバーがそろっていると思う。そして全体としてとてもよくまとまっている。


特にトビアとスルックの二重唱などは、声も素晴らしく演技も素晴らしく鳥肌ものだった。よほど気の合う方同士なのか、アンサンブル感覚(音楽的な意味においても、演技的な意味においても)が優れた方どうしなのか、日本人でもこんなにうまいことできるんだな〜と感じ、とても良い影響をいただいた思う。


先々週のばらの騎士に比べればもちろん規模的には小さい舞台だが、近くで聞けたということ、またとても丁寧に作られていたということで、ある意味ばらの騎士よりも楽しめたかもしれない。自分の目指したい方向性としては、やはりこういう舞台なのではないだろうか・・・と感じた。(そもそも私レベルでチューリッヒ歌劇場を目指す、ということ自体ありえないのだが 笑)


〜おわり〜